岸本裕躬セレクション 「眼差しと色彩」

2019.8/17 sat.~8/25 sun.

Kishimoto Hiromi Selection “His Gaze and Color”

「パリの自室」1972年6月/油彩


 「見る」ことは、岸本裕躬(1937-2011)にとって大きな関心事であった。彼のアトリエの書架には、土門拳やロバート・キャパの書籍が今も多く残されている。彼の代表的な仕事である70年代後半から90年代にかけての人物画には、ファインダーから対象を捉えるような生々しさがある。リアルな人間存在に迫ろうとする彼の眼は、対象が内在する多面的な感情を巧みに色彩へと置き換え、画面に光と影を与えていった。

そして、90年代後半からは「見る」ことから「見える」ことへと変化していく。それは「見える」ということへの感謝や驚きの念が、画業を重ねれば重ねるほど大きくなったからだろう。少年が興味津々に草むらを覗き込むような純朴さと生命の力強さを持った後期の作品は、昆虫や植物、菌類などがモチーフとなった。人間社会が持つ複雑さとは離れた自然の摂理が、画面に自由闊達な構成と明るいながらも落ち着いた色彩をもたらしている。彼の眼差しと色彩は時代とともに変遷したが、その根底には対象を受け入れる優しさ常に存在している。

【岸本裕躬セレクション 「眼差しと色彩」】

2019.8/17 (土)~8/25 (日)

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火.水.木.金.土 10:30~21:30〈ラストオーダー21:00〉

日.月 10:30~20:00〈ラストオーダー19:30〉

※会期中無休

会場:TO OV cafe/gallery

ト・オン・カフェ/ギャラリー

〒064-0809

札幌市中央区南9条西3丁目2-1マジソンハイツ1階